秋の褒賞 「平地林を開発から守る」 おおたかの森トラストの足立圭子代表・埼玉
2022/11/2
11:21
おおたかの森トラストの活動について説明する足立圭子代表=所沢市(中村智隆撮影)
3日発令の「秋の褒章」が2日付で発表され、埼玉県内からは17人と2団体が受章する。内訳は、緑綬褒章2団体▽黄綬褒章5人▽藍綬褒章12人。このうち、緑綬褒章を受章した所沢市の環境保全奉仕団体「おおたかの森トラスト」代表の足立圭子さん(77)に喜びの声を聞いた。
「支えてくれる人がいなかったら今までの活動はできなかった。これからは活動をさらに充実させたい」
おおたかの森トラスト代表の足立さんは、受章をこう喜んだ。
おおたかの森トラストは平成6年、県西部に広がる平地林(雑木林)を開発の手から守り、豊かな生態系を築くために足立さんが中心となって設立した。
所沢市や狭山市、川越市などにまたがる550ヘクタールの平地林を「おおたかの森」と名付け、土地を買ったり借りたりして保全活動を展開。清掃や萌芽(ほうが)更新、外来種の駆除などを通じて「森を若返らせ、生態系を豊かにする」(足立さん)べく、約30年の長きにわたって取り組んできた。
おおたかの森には「ダイオキシン問題」で有名になった通称「くぬぎ山地区」がある。産業廃棄物処理施設が密集し、問題の象徴的存在とされた。おおたかの森トラストは地区の土地を一部購入したり、行政による公有地化が進むような働きかけを行ったりして、再生に尽力した。
しかし、産廃の焼却炉はなくなったものの開発は止まず、150ヘクタールあまりあった地区の平地林はいまやおよそ半分の約80ヘクタールにまで縮小した。公有地化に取り組むのは所沢市だけにとどまっており、足立さんは今後、「大野元裕知事に会って県に土地を買うよう求める」考えだ。